« 前田建設ファンタジー営業部 Project03 | メイン | 113系@千マリ »

2005年06月11日

八甲田山死の彷徨

部下社員(高卒新入社員)に与えられた課題に,標題の本を読んで読書感想文を提出せよという内容のものが出され,部下に読ませなければならないことから,自分も改めて本を買って読んだ次第.以前,高倉健・北大路欣也主演の映画「八甲田山」は見たことがあったが,原作本はしっかり読んだことがなかったので,ちょうど良い機会になった.
内容的には,雪中行軍を事実上命じられた青森第5聯隊と弘前第31聯隊について,様々な角度から対比させることで,その行軍の成否までを克明に記している.部隊を少数精鋭に絞り,各隊員それぞれに個別の課題を与えた上で,自分がすべての責任者となり指揮した弘前31聯隊の徳島大尉(史実では福島大尉)と,部隊編成の長であるとしながらもその上司を部隊外の随行とされ,準備期間も極めて短く,冗長に大きな部隊で行軍を行うこととなった青森第5聯隊の神田大尉(史実では神成大尉)との比較は,おそらく様々な企業や職業訓練などにおける研修教材として,格好の材料となっている.落としどころとしては,権限の委譲と責任の遂行,そして危機管理体制の構築にあるのだが,そこへ向けて様々なアプローチの仕方がとれるところに,この小説(限りなく史実に近い小説)の奥深さがあるように思う.
ただ,現在のとざわ自身が抱えるこの小説に対する課題として,読書感想文という課題を与えられた高卒新入社員に,この小説をどう読み切らせるか,そして読んだ上で読書感想文を書かせるかという課題がある.これが非常に難しいもので… 時代背景や文章中の語句,それに行軍をすることの目的など,どれだけ理解できるのか甚だ不安.というのも,はじめにこの課題が出されたとき,当の本人から質問された内容が,「(書名をさして)これってどういう言葉ですか?」であり,具体的に文節を切って「(八甲田山)+(死の)+(彷徨)」ってことだと教えてやると,次に出てきた質問が「八甲田山って,何ですか? どっかの山ですか?」と言われる始末.そこで,青森の山であることを教えてやったのだが,やっぱ八甲田トンネルの担当をしていたものとしては寂しい気が.そして,予測通り「彷徨ってどういう意味ですか?」と来たので,「少しは国語辞典を調べるとか,自分で努力しなさい」と突き放したのであった.
そして,そのようなやりとりから約1ヶ月後,「おい,本は買ったのか?」と聞いたら,「買いました」との返事があり,とりあえず安心.しかし「どこまで読んだ?」の質問には,元気よく「3ページです!」との返事が…

  【参考】
 ●八甲田山死の彷徨(著・新田次郎)
 ●新潮文庫(に-2-14) 514円(税込)
 ●ISBN 4-10-112214-8

投稿者 とざわ : 2005年06月11日 00:01

コメント

コメントしてください

サイン・インを確認しました、 さん。コメントしてください。 (サイン・アウト)

(いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのウェブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)


情報を登録する?